【更新情報】2026年10月2日(金)、ヒメマスの遡上を期待して現地を訪れました。
昼間のおよそ1時間、水辺を観察しましたが、確認できたのは、単独で遡上するホンマスとおぼしき個体、わずか3匹のみでした。
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今回は、奥日光にひと足早い秋の訪れを告げる、中禅寺湖のヒメマスの遡上についてご紹介します。
以前から興味があって、一度見に行ってみたいと思っていたものの、
「いったい、どこに行けば見られるの?」
「現地までのアクセスはどうすればいいの?」
「観察する際に、何か注意することはあるの?」
……など、分からないことや気になることが多く、なかなか足を運べずにいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな方に向けて、
- どんな光景を見ることができるのか
- どこに行けば見られるのか
- いつ頃見に行くのがおすすめなのか
- 観察ポイントまでのアクセス方法や注意事項
といった情報をまとめてみました。
さらに、実際に訪れてもヒメマスの遡上に出会えなかった場合に、**「ここに行けば紅く染まったヒメマスを見ることができます」**というおすすめスポットも紹介しています。
また、近年大きな問題となっているヒメマスの個体数減少と、その資源回復策についても、気になる情報を取り上げています。
これから中禅寺湖のヒメマス遡上を見に行ってみたい方は、ぜひこの先の内容もチェックしてみてください。
中禅寺湖のヒメマス遡上、実際にはこんな光景が見られます

この記事をご覧いただいている方の中には、ヒメマスの遡上がどのようなものなのか、すでにご存じの方も多いかもしれません。
そこでまず、「実際にはこんな光景が見られますよ」という代表的な写真をご紹介します。
下の写真は、2017年9月27日の午後に撮影したものです。
当日は秋晴れのとても気持ちのよい天気でした。太陽の光が水中まで強く差し込み、ヒメマスの鮮やかな紅色と、梅花藻(ばいかも)の緑とのコントラストを際立たせていました。
まさに、いつまでも眺めていたくなるような光景でした。
私は2017年以降、毎年ヒメマスの遡上を見るために現地へ足を運んでいます。しかし、残念なことに、2018年から2021年にかけてヒメマスの個体数が大きく減少したこともあり、4年連続でその姿を見ることができませんでした。
今年こそ、もう一度あの美しい紅色と緑のコントラストを見てみたいものです。





中禅寺湖のヒメマス遡上はいつ?見頃の時期と最新情報の確認方法

年によって多少前後しますが、中禅寺湖のヒメマスの遡上は、例年9月上旬頃から始まります。
最初のうちは数が少ないものの、次第に遡上する個体が増えていき、9月中旬から10月初旬にかけてピークを迎えます。その後は徐々に数が減り、10月末頃にはシーズンを終えるというのが、おおよその流れです。
ただし、上でも書いたように、年によっては遡上するヒメマスの数が極端に少ないこともあります。そうした年に当たってしまうと、遡上シーズンの期間中であっても、ほとんど、あるいはまったく姿を見ることができない場合があります。
せっかく見に行くのであれば、できるだけ事前に遡上状況を把握しておきたいところです。
そこで、ぜひチェックしていただきたいのが、中禅寺湖漁業協同組合が運営する公式ブログです。
9月のヒメマス遡上シーズンになると、下の画像のように遡上状況を伝える記事が掲載されることがありますので、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、2019年、2020年、2021年のように、ヒメマスの遡上数が極端に少なかった年には、記事が掲載されなかったこともあります。そのため、ブログが更新されていないからといって、必ずしも遡上していないとは限らない点には注意が必要です。
もしシーズンに入ってもブログの更新がないようであれば、**X(旧Twitter)**で「中禅寺湖 ヒメマス 遡上」などのキーワードで検索し、最新の目撃情報を探してみるのもよいでしょう。


中禅寺湖のヒメマス遡上はどこで見られる?おすすめは菖蒲清水川

ヒメマスの遡上が多い菖蒲清水川の河口
中禅寺湖でヒメマスの産卵遡上が見られる場所はいくつかありますが、その中でも特に多くのヒメマスが集まるのが、菖蒲清水川(しょうぶしみずがわ)の河口です。
この川は、周辺に豊富に湧き出している湧水「菖蒲清水(しょうぶしみず)」と、上流にある菖蒲ヶ浜発電所からの排水が合流してできています。発電所では地獄川の水を利用しており、その水が菖蒲清水川を通って、最後は中禅寺湖へと流れ込んでいます(下図参照)。
ちなみに、「排水」と聞くと少し気になるかもしれませんが、発電に利用した水が流れているだけなので、水はとてもきれいですよ!


前年の秋に帰ってきたヒメマスの親魚(しんぎょ)から採取された卵は、この川の水、主に菖蒲清水の湧水を使って人工的に育てられます。
その後、翌年の春に5センチほどまで成長した稚魚は、この川の河口から放流され、中禅寺湖へと泳いでいきます。放流される稚魚の数は、毎年およそ100万匹を超える規模になります。
そして、放流から2~3年後の秋。湖で大きく成長したヒメマスの親魚は、産卵のため、再びこの川へと戻ってきます。
このように、生まれ育った川へ産卵のために戻ってくる行動を「母川回帰(ぼせんかいき)」といいます。
中禅寺湖に放流されるヒメマスの稚魚の多くは、この菖蒲清水川から放流されています。そのため、産卵のために戻ってくる親魚の数も、この川が最も多くなるというわけです。
ちなみに、上の図を見ると、すぐ隣には湯川(地獄川)の河口があります。しかし、菖蒲清水川から放流された個体、つまり菖蒲清水の水で育った個体は、湯川へはほとんど遡上しないそうです。
ごくわずかに、いわば「迷子」のように遡上する個体がいる程度なのだとか。
それだけヒメマスの母川回帰性が強いということなのでしょう。
なんて賢い魚なんでしょう!
菖蒲清水川のヒメマス観察ポイントへの行き方
では次に、菖蒲清水川(しょうぶしみずがわ)のヒメマス観察ポイントまでの行き方を、画像を交えて詳しく説明していきます。
観察ポイントに最も近い駐車場は、**「竜頭滝下駐車場(無料)」**です。ここを起点に、徒歩でのルートをご紹介します。
駐車場から観察ポイントまでは、歩いて5分ほど。それほど距離はありませんので、気軽に行くことができますよ!














ヒメマスの遡上が見られなかったら?「さかなと森の観察園」へ

先にも書いたように、中禅寺湖のヒメマスの遡上は、2018年以降、低迷が続いています。
「きっと今年こそは回復しているはず!」と大いに期待したいところですが、実際のところは、フタを開けてみないと分かりません。
もし今年もヒメマスの遡上を見ることができなかった場合は、すぐ近くにある**「さかなと森の観察園」**に足を運んでみてください。※ 国立研究開発法人 水産研究・教育機構の広報施設です
施設は、先ほど紹介した竜頭滝下駐車場の目の前にあり、入園料も大人300円、小人100円(小・中学生)とリーズナブルです!
中禅寺湖で産卵のために遡上してきた天然のヒメマス、というわけにはいきませんが、紅く色づいた大きなヒメマスの姿を見ることができますよ!
下の2枚の写真は、「さかなと森の観察園」で展示飼育されているヒメマスを撮影したものです。
体色が銀色の個体(性別不明)は2021年7月中旬に、もう一方の紅く色づいた個体(雄)は、翌月の8月初旬に同じ個体を撮影しました。
わずか半月ほどしか経っていないにもかかわらず、体色だけでなく体つきまで大きく変化していることが分かります。
まさに、生命の神秘といえるでしょう!


『さかなと森の観察園』についてもっと知りたいという方は、以下の記事もご覧ください!

なぜヒメマスは減った?レイクトラウトとの関係と資源回復の現在
ところで、中禅寺湖のヒメマスは、なぜここまで激減してしまったのでしょうか?
その理由はいくつか考えられていますが、なかでも大きな要因のひとつとされているのが、「レイクトラウト」による食害です。国や県、中禅寺湖漁業協同組合では、レイクトラウトによるヒメマスなどの捕食が、資源減少に大きく影響していると考えているようです。
ここで、レイクトラウトについて少し説明しておきましょう。
レイクトラウトは北米原産のサケ科の魚で、中禅寺湖には1966年にカナダから初めて持ち込まれました。
魚食性が非常に強く、湖内に生息するワカサギやヒメマスなどを捕食します。大きな個体では全長1メートルを超えるまで成長することもあり、釣り人の間では人気の高い魚です。

中禅寺湖では、東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、2012年から魚の持ち帰りが原則として禁止され、キャッチ&リリース(C&R)を基本とした漁場運営が行われてきました。※2017年4月には、放射性物質濃度が基準値を下回ったことから、ヒメマスの持ち帰り禁止が解除されています。
その後、ヒメマスの回帰親魚数は大きく変動し、2017年には過去最高となる10,501尾を記録したものの、2019年以降は極端に少ない状態が続きました。
ヒメマスが減少した原因については、餌となる生物の減少、捕食生物の増加、疾病、水質の変化、同種間の競争など、さまざまな可能性が考えられています。
なかでも注目されているのが、魚食性の強いレイクトラウトです。
栃木県水産試験場の調査では、中禅寺湖のレイクトラウトの釣獲率が増加傾向にあることが確認されており、さらに胃内容物の調査では、実際にヒメマスが確認されています。
こうしたことから、レイクトラウトによる捕食がヒメマス資源に影響を与えている可能性が指摘されています。ただし、ヒメマスが急減した原因については、現在も完全には解明されていません。
その後、こうした調査や対策が進められ、2022年からは標識を施したヒメマスの回帰が確認されるようになりました。2024年には338尾の親魚が回帰し、少しずつではありますが、ヒメマス資源には回復の兆しも見られています。
ただし、現在も採捕制限開始前の水準には戻っておらず、ヒメマス急減の原因そのものも完全には解明されていません。
今後、ヒメマスの資源がどこまで回復していくのか、引き続き注目したいところです。
NHKジャーナル 中禅寺湖のヒメマスを救え!(2022.6.21放送) より引用
その共存できる環境作りを目指して、調査チームが行った実験の結果がことしの秋に出ます。ポイントは「放流」です。これまでは体長5cmほどに育った稚魚を放していましたが、大きくすれば食べられにくいのではと考えて、一部を通常の倍の10cm程度にまで育てて放すようにしています。もしレイクトラウトが原因であれば、この方法で生き残れるヒメマスが増えるのではと考えています。ことしの秋にその第一世代が遡上の時期を迎えるため、関係者はその数に注目しています。
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/nhkjournal/LVqkjVBfKL.html
観察ポイントに関する基本情報
- 名称
中禅寺湖 菖蒲ヶ浜 菖蒲清水川 河口 ※ この川は人口の河川になります - 場所
〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2485 菖蒲ヶ浜キャンプ場 そば - 電話
なし - ウェブサイト
なし - ヒメマスの遡上シーズン
毎年 9月~10月 ※遡上数は年によって大きく増減します - 料金
なし - 駐車場
遡上ヒメマスの観察ポイントから徒歩5分(道のりで400メートル)のところに竜頭滝下駐車場(無料)があります。 - 注意事項
今回ご紹介するヒメマスの観察ポイントのすぐ隣には、有料のキャンプ施設「菖蒲ヶ浜キャンプ場」があります。キャンプ場内には、施設利用者以外の立ち入りが禁止されているエリアや、利用者専用の駐車場があります。観察の際は、キャンプ場の利用者や施設のルールに配慮し、立入禁止区域には入らないよう十分注意してください。
まとめ
今回は、秋に始まる中禅寺湖のヒメマスの産卵遡上についてご紹介しました。
ヒメマスの遡上の様子を観察できる場所をはじめ、観察ポイントまでのアクセス方法や注意点、さらに、もし遡上を見ることができなかった場合におすすめしたいスポットまで、詳しくまとめてみました。
あとは、実際にヒメマスの遡上が始まったという情報を確認して、現地へ足を運ぶだけです!
日本広しといえども、これほど美しいヒメマスの産卵遡上を間近で観察できる場所は、そう多くありません。
一度その光景を目にすれば、きっと感動することと思います。
まだヒメマスの遡上を見たことがないという方は、ぜひ一度、足を運んでみてください。
ヒメマスのお父さん、お母さん、今年こそはたくさん帰ってきておくれ!


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